運転支援装置は、自動車の安全性向上を図るために搭載されるものですが、支援装置の能力を勘違いしたり過信してしまうと思いもしないような事故が発生しかねません。この記事を書いている2022年10月には、まだ完全自動運転のトラックは存在しません。
しかしながら、ACCやLKAなどの先進的な技術により部分的にですが、あたかも自動運転かのようにトラックに乗っている状況を作り出すことが出来てしまいます。これを自動運転だと錯覚してしまうことは非常に危険ですし、実際にすでに先進技術を過信したことで重大な事故が発生しています。
運転をする主体はドライバーさん自身です。支援システムは、あくまで支援するのみです。便利な装置をうまく活用し、しかしながら決して過信したり誤用したりしないよう肝に命じましょう。
安全性向上のための運転支援装置の種類
アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC:Adaptive Cruise Control)
アダプティブ・クルーズ・コントロールとは、定速走行・車間距離制御装置です。設定した速度や車間距離を守って一定の速度で走行するシステムです。速度だけ一定に保つクルーズコントロール装置よりも、前方車両との車間距離を維持する機能があるため、追突を起こしにくいです。しかし、レーダーによる前方車両の認識が上手くいかない場合も考えられますし、前方に急な割り込み車両が入ってきたときなども通常と異なる動作をすることが考えられます。
衝突被害軽減ブレーキ
衝突事故時の被害を軽減させるブレーキです。あくまで、被害を軽くするものであって、被害を回避するためのものではありません。完全に止まると勘違いして、実際にノーブレーキで止まるかどうかを試すのはやめましょう。
車線維持支援装置(LKA:Lane Keeping Assistsystem)
ハンドル操作のふらつきを制御したり、車線逸脱時に警報を発する装置です。
運転支援装置に関する事故の事例
平成28年3月、広島県の山陽自動車道下り線のトンネルにて、オートクルーズ状態のまま居眠りした車両が、ほとんど減速せずにそのまま追突し2名が死亡。
某自動車メーカーのディーラーが、自動ブレーキの体験試乗会を開き、客が試乗していた車両が模擬障害物を通過し、その先のフェンスに衝突し。この事故で客が軽傷、同情していた販売店員が重傷を負いました。
トラックドライバーが早朝に運行中、眠くなってきたため、アダプティブ・クルーズ・コントロール装置利用しました。このとき、運転手は装置を自動運転のようなものと誤解して居眠り状態で使用してしまい、路側帯でタイヤ交換をしていた 2 人をはねてしまいました。この事故により、はねられた 2 人は全身を強く打ち、間もなく死亡しました。
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